- 時期に決まりはありません。法要で親族が集まる日に合わせる家もあります。
- 亡くなった人の物は、相続人に引き継がれます。分ける前に相続人どうしで合意しておきます。
- 値打ちのある物は、遺産の分け方の話し合いに入れます。相続を放棄するかもしれない人は、受け取る前に確かめてください。
形見分けと相続の関係
相続人は、亡くなった人の財産に属した権利と義務を、相続が始まった時から引き継ぎます(民法第896条)。相続人が何人もいるときは、遺産の分け方が決まるまで、遺産は相続人みんなの共有です(民法第898条)。
つまり、形見分けで分ける品も、もとは相続人みんなの物です。だれかひとりの判断で配らず、どの品をだれに分けるかを相続人で決めてから渡すと、あとで「勝手に配った」という行き違いが起きにくくなります。
いつ行うか
形見分けをいつまでにする、という法律の決まりはありません。仏教の四十九日のように、法要で親族が集まる日に合わせて行う家もあります。宗教や家のしきたりで考え方が違うので、家族で決めて構いません。
- 遺産の分け方の見通しが立ってから: 値打ちのある物が混ざっていると、分け方の話し合いと重なります。話し合いのあとにすると揉めにくくなります。
- 部屋を早く空けないといけないとき: 賃貸の明け渡しが迫っているときは、形見分けの候補を先に箱に詰めて、別の場所に移しておく方法があります(賃貸の部屋の遺品整理)。
- 相続を放棄するかもしれない人がいるとき: その人が決めるまで、値打ちのある物を分けるのは待ちます。放棄の申し出の期限は、相続が始まったことを知った時から3か月以内です。
だれに分けるか
- 亡くなった人の希望: 遺言書やメモに「この時計は○○に」と書いてあれば、まずそれを確かめます。封のある遺言書は開けずに、家庭裁判所で開ける手続き(検認)をします(捨ててはいけない物)。
- 相続人どうし: 品の一覧と写真を相続人で共有し、欲しい物を聞きます。遠くに住む人にも写真を送ると、片付けの日に集まれなくても希望を出せます。
- 親しかった友人や知人: 相続人でない人に分けるときも、相続人で話し合ってからにします。相手の負担にならないか、先に聞いてから送ると安心です。
値打ちのある物
貴金属・時計・着物・美術品・骨董・ブランド品のように値打ちのある物は、形見分けというより遺産の分け方の話し合い(遺産分割・民法第907条)で扱う物です。
- 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるときは、相続税の申告が要ることがあり、値打ちのある品も遺産の額に入ります。
- 贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。相続人が引き継いだ値打ちのある物を、ほかの人に贈るときは、贈与税がかかることがあります(1年間にもらった財産の合計から、基礎控除110万円を引いて計算します)。
- 値打ちが分からない物は、分ける前に買取店などで目安を聞いておくと、話し合いがしやすくなります(遺品を売るとき)。
税金がかかるかどうかは、遺産の全体と、だれが何を受け取るかで決まります。迷うときは税務署か税理士に確かめてください。
相続放棄を考えている人
相続する財産の全部または一部を処分すると、相続を認めたとみなされることがあります(民法第921条)。値打ちのある品を形見分けで受け取ったり、持ち帰って使ったりすることが、この「処分」に当たるかどうかは、品の値打ちや事情で変わります。
どこまでなら当たらないかについて、裁判所や国の分かりやすい基準は示されていません。放棄するかもしれない人は、形見分けの品を受け取る前に、家庭裁判所や専門家に確かめてください(相続放棄を考えているときの遺品整理)。
贈るときの気づかい
- 手入れしてから渡す: 衣類は洗うかクリーニングに出し、時計や道具は汚れを落としてから。
- 包み方: 形見分けの品は贈り物ではないので、きれいな包装はしないで渡す、という考え方があります。家や地域で違うので、迷うときは年長の親族に聞いてください。
- 目上の人に贈るとき: 目上の人に形見を贈るのは控える、という考え方もあります。相手が望んでいるときは、気にしすぎなくて構いません。
- 送るとき: 割れ物や時計は、緩衝材で包んで箱の中で動かないようにします。送る前に、受け取ってもらえるかを相手に聞いておきます。
- 受け取った物を処分したいとき: 断りにくい品は、使える人に譲る、写真に撮ってから手放すなど、受け取った人が決めて構いません。
形見分けにしない物
- 仏壇・位牌・お墓: 系譜・祭具・墳墓は、相続財産とは別に、慣習に従って祭祀を主宰する人が引き継ぎます。亡くなった人が指定していればその人、慣習がはっきりしないときは家庭裁判所が決めます(民法第897条)。だれが受け継ぐかを先に決めます。
- 借りている物・預かっている物: 介護用品のレンタルや、人から預かっていた物は、持ち主に返します。
- 手続きに使う物: 通帳・印鑑・権利証・保険証券などは、相続の手続きが終わるまで残します。
よくある質問
形見分けを断られたら、どうすればいいですか?
無理に渡さなくて構いません。ほかに欲しい人がいないかを親族に聞くか、写真に撮って残してから、売る・譲る・処分するを家族で決めてください。
形見分けの品を、亡くなった人の友人に送ってもいいですか?
送れます。相続人の話し合いで決めてから、受け取ってもらえるかを相手に聞いて送ってください。値打ちのある物は、税金がかかることがあるので気をつけてください。
遺品の写真や手紙は、だれが持つのがいいですか?
決まりはありません。アルバムは何冊かに分けるか、写真をデータにして相続人みんなに配る方法もあります。手紙や日記は、読む前に、だれが読んでよいかを家族で話しておくと安心です。
あわせて読む
出典
- 民法(第885条・第896条〜第898条・第907条・第915条・第921条・第940条・第1004条・第1005条)(e-Gov法令検索)
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁)
- No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)(国税庁)
確認日: 2026年10月20日