督促状・借金の書類が出てきたとき
日本の法律では、亡くなった人に借金があるときは、それを返す責任も相続人に引き継がれます(法テラス)。そのため、借金の書類は、相続するかどうかを決める材料になります。
| 出てきた物 | 扱い |
|---|---|
| 督促状・請求書 | 払わず、封筒ごと保管する。送り主・日付・請求の額を写真に残す |
| 借用書・ローンやカードの契約書・明細 | 捨てずに、ほかの書類と分けてまとめる(捨ててはいけない物) |
| 保証の書類 | 借金の書類と同じように保管する(連帯保証のとき) |
| 督促の電話・訪問 | 払う約束や、借金を認める返事をしない。相続を放棄するかを調べている途中だと伝え、専門家に相談する |
放棄するかどうかを決める前に、借金を返すのは控えてください。法テラスは、相続放棄の手続をする前に、亡くなった人の銀行口座を解約したり、土地を売ったり、借金を返したりすると、相続放棄ができなくなると案内しています。民法第921条は、相続財産の全部または一部を処分したときなどに、相続を単純に認めたとみなすと定めています。どこまでが処分に当たるかは事情で変わるので、迷うときは弁護士か法テラスに相談してください(相続放棄を考えているときの遺品整理)。
借金の調べ方
相続人は、相続の承認か放棄をする前に、相続財産の調査をすることができます(民法第915条第2項)。借金の調べ方は、書類から探す方法と、信用情報機関に開示を求める方法があります。
信用情報機関の開示
信用情報機関は、ローンやカードの契約・返済の情報を集めている機関です。亡くなった人の情報は、法定相続人が郵送で開示を求められます。申し込みは機関ごとに別になります。
| 機関 | 開示を求められる人 | 手数料 | 届くまで |
|---|---|---|---|
| 全国銀行個人信用情報センター (全国銀行協会が運営) | 法定相続人(配偶者、第1順位の子、第2順位の直系尊属、第3順位の兄弟姉妹)。亡くなった人の開示は、成年の法定相続人と、その法定代理人に限る | 2,403円 コンビニで「本人開示・申告手続利用券」を買って同封する。ゆうちょ銀行の定額小為替証書は使えない | 申込みが大幅に増えているため、届くまでに通常より相当の日数がかかると、センターが案内している |
| CIC | 法定相続人だけ。第2・第3順位の人は、上の順位の人がいないことを示す書類も要る | 1,500円(コンビニの開示利用券は1,650円) 開示利用券(コンビニチケット)か、ゆうちょ銀行の定額小為替証書で払う | 法定相続情報一覧図を送ったときは10日ほど、戸籍謄抄本など複数の書類を送ったときは20日ほど |
| JICC(日本信用情報機構) | 法定相続人または2親等以内の血族(1親等は両親と子、2親等は祖父母・兄弟姉妹・孫) | 2,177円(速達は2,511円) コンビニで郵送開示利用券を買って同封する。定額小為替証書は使えない。登録情報がなくても返金されない | 申込書類が届いてから7日から10日 |
3つの機関とも、結果は、法定相続人の現住所へ、本人限定受取郵便(特例型・転送不要)で届きます。本人に限って受け取れる郵便なので、受け取りには郵便局で本人確認書類を見せます。
| 機関 | 主な書類 |
|---|---|
| 全国銀行個人信用情報センター | 登録情報開示申込書(法定相続人用)、亡くなった人の死亡を証する書類、法定相続人であること(続柄)を証する書類(戸籍全部事項証明書。発行日から6か月以内)、法定相続人の本人確認書類2種類(うち1種類は発行日から3か月以内の原本)、本人開示・申告手続利用券 |
| CIC | 信用情報開示申込書(法定相続人用)、法定相続人の本人確認書類2点(住民票・印鑑登録証明書・戸籍の附票のうち、発行日から3か月以内の原本1点+免許証などのコピー1点)、法定相続人であることが確認できる書類(法定相続情報一覧図か、戸籍謄抄本一式)、亡くなったことが確認できる書類(戸籍謄抄本か死亡診断書のコピー)、手数料 |
| JICC(日本信用情報機構) | 信用情報開示申込書(ご本人が亡くなられている場合・法定相続人等用)、本人確認書類2点(住民票の写し・印鑑登録証明書・戸籍の附票の写しのうち、発行日から3か月以内の原本1点+免許証などのコピー1点)、法定相続人等であることが分かる戸籍(除籍)謄本等(発行日から3か月以内の原本)、亡くなったことが分かる戸籍(除籍)謄本等の原本、郵送開示利用券 |
3つの機関とも、法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」(登記官の認証文言付き)を出すと、戸籍の書類の一部が要らなくなります。全国銀行個人信用情報センターでは、死亡と続柄を証する書類が原則不要になります。
期限と、承認・放棄の選び方
相続人は、次の3つのうちのどれかを選びます(裁判所)。
| 選び方 | 内容 |
|---|---|
| 単純承認 | 亡くなった人の土地の所有権などの権利や、借金などの義務を、すべて受け継ぐ |
| 相続放棄 | 亡くなった人の権利も義務も、一切受け継がない |
| 限定承認 | 亡くなった人の債務がどの程度あるか分からず、財産が残る可能性もあるときなどに、相続で得た財産の限度で債務の負担を受け継ぐ |
- 期限: 自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内。放棄や限定承認は、亡くなった人の最後の住所地を受け持つ家庭裁判所に申し出ます。
- 決められないとき: 3か月のうちに調べても、承認か放棄かを決める材料が得られないときは、家庭裁判所に期間を延ばす申立てができる(延ばしたい相続人1人につき収入印紙800円分)。
- 放棄の費用: 申し出る人1人につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手。
相続人は、相続の承認または放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる(民法第915条第2項)。調べているあいだに、部屋の物を処分しないでください。
連帯保証のとき
- 亡くなった人が保証人だったとき: 保証契約は、書面でしなければ効力を生じない(内容を記録した電磁的記録でされたときは、書面によるものとみなす)(民法第446条第2項)。保証をしていたなら、契約書か、記録された電子データが手がかりになるので、書類を捨てずに保管します。保証の義務を相続人がどう引き継ぐかは、弁護士か法テラスに確かめてください。
- あなた自身が、亡くなった人の借金の連帯保証人だったとき: 法テラスは、自分が連帯保証債務を負っているときは、相続放棄をしても、連帯保証債務は影響を受けず、引き続き責任を負うと案内しています。
相談する先
弁護士や司法書士による無料法律相談は、収入と資産が一定の基準以下の人が対象。1回30分で、同じ問題につき3回まで。原則として事前の予約が要る。
よくある質問
督促状の請求額を、少しだけ払って待ってもらってもいいですか?
法テラスは、相続放棄の前に借金を返すと、相続放棄ができなくなると案内しています。民法第921条の「処分」に当たるかは事情で変わるので、払う約束や支払いをする前に、法テラスか弁護士に相談してください。
借金があるか分からないまま、3か月が近づいています。
3か月のうちに調べても、承認か放棄かを決める材料が得られないときは、家庭裁判所に期間を延ばす申立てができます(収入印紙800円分)。期限の前に、家庭裁判所か法テラスに相談してください。
信用情報機関の開示は、相続人なら誰でもできますか?
全国銀行個人信用情報センターとCICは法定相続人だけです。JICCは法定相続人か2親等以内の血族です。順位が下の人は、上の順位の人がいないことを示す書類も要ります。
あわせて読む
出典
- 民法(第446条・第915条・第921条)(e-Gov法令検索)
- 相続の放棄の申述(裁判所)
- 相続の承認又は放棄の期間の伸長(裁判所)
- 法定相続人による開示のお手続きについて(様式開11・2026年10月版)/郵送による開示手続(全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター)
- 郵送で開示する(亡くなられた方の開示)(CIC(指定信用情報機関))
- 二親等以内の血族 法定相続人等による開示(日本信用情報機構(JICC))
- 法テラス(法テラス・サポートダイヤル)(法テラス)
- 無料法律相談のご利用の流れ(法テラス)
- 父の財産の相続を放棄した場合、連帯保証人としての私の責任はどうなりますか。(法テラス)
- 「先日、私の妻が死にました。…」(やさしい日本語・事例集)(法テラス)
確認日: 2026年10月31日