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片付けで通帳・現金が出てきたときの扱い

通帳や現金が出てきたら、使わずに、見つけた日・場所・額を記録して、相続人どうしで共有します。遺産分割の前でも預貯金を一定の額まで仮払いで受け取る方法があり、口座が分からないときは公的な照会の仕組みもあります。

出てきた物ごとの答え
見つけた現金・通帳使わずに、日付・場所・額を記録する。相続人どうしで共有し、預かる人を決める
すぐにお金が要る遺産分割の前でも、預貯金は口座ごとの計算で、金融機関ごとに150万円まで仮払いを受けられる
口座が分からない預金保険機構の「相続時預貯金口座照会」(5,060円)か、取引がありそうな金融機関の窓口で調べる
相続放棄を考えている現金も預金も手を付けない。期限は3か月。詳しくは相続放棄を考えているとき

見つけた現金・通帳の扱い

相続人は、相続が始まった時から、亡くなった人の財産に属した一切の権利と義務を引き継ぎます(民法第896条)。相続人が何人かいるときは、相続財産はその共有になります(第898条)。見つけた現金も通帳も、見つけた人の物ではなく、相続財産です。

出てきた物扱い
現金触る前に、見つけた場所を写真に撮り、日付と額を記録する。封筒に入れて、預かる人を相続人で決める
通帳・キャッシュカード・証書捨てずに1か所にまとめる。最後の記帳の日と残高も写真に撮っておく
貸金庫の鍵・契約書類捨てずに、契約している金融機関に問い合わせる。開け方や必要な書類は、金融機関に確かめる
ずっと使っていない通帳休眠預金になっていても引き出せる場合がある(古い通帳と休眠預金)

借金があるかもしれないとき、相続放棄を考えているときは、現金も預金も使わず、分けずにそのままにしてください。民法第921条は、相続財産の全部または一部を処分したときなどに、相続を単純に認めたとみなすと定めています(相続放棄を考えているときの遺品整理)。どこまでが処分に当たるかは事情で変わるので、迷うときは家庭裁判所や専門家に確かめてください。

預貯金の仮払い制度

亡くなった人の預貯金は、遺産分割が終わるまで、相続人ひとりでは引き出せないのが原則です。生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などの資金が要るときのために、遺産分割の前にも払い戻しが受けられる制度として、次の2つの方法が設けられています(法務省)。

金融機関の窓口で家庭裁判所の保全処分で
根拠民法第909条の2家事事件手続法第200条第3項
家庭裁判所の手続き要らない。金融機関の窓口で受け取れる遺産分割の調停か審判の申立てをしたあと、家庭裁判所に認めてもらう
受け取れる額相続開始の時の預貯金債権の額(口座ごと)× 3分の1 × その相続人の法定相続分。金融機関ごとに150万円まで家庭裁判所が認めた、特定の預貯金債権の全部または一部
認められる条件相続人ひとりでもできる遺産の分割の審判または調停の申立てがあったあと、相続債務の弁済や相続人の生活費の支払いなどのために、預貯金債権を使う必要があると家庭裁判所が認めるとき。他の共同相続人の利益を害するときは認められない

金融機関ごとの150万円は、民法が「預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額」を上限とし、省令がその額を150万円と定めています。法務省の資料の例では、相続人が長男・次男の2人(それぞれ2分の1)で、預金が600万円の口座なら、1人が単独で払い戻せる額は100万円です。窓口で払い戻した分は、その相続人が遺産の一部の分割で取得したものとみなされます(民法第909条の2)。

家庭裁判所の保全処分を使う前提になる遺産分割調停の申立ては、被相続人1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手がかかります(裁判所)。

必要な書類は金融機関ごとに違います。ゆうちょ銀行の相続手続きの案内には、亡くなった人の戸籍謄本や相続人の印鑑登録証明書などが挙がっています。仮払いで何を求めるかは、預けていた金融機関に「遺産分割前の払戻し制度を使いたい」と伝えて確かめてください。

相続放棄を考えている人が仮払いを受けると、相続を認めたとみなされるおそれがあります。受け取る前に、相続放棄を考えているときを読み、家庭裁判所か専門家に確かめてください。受け取った額と使い道は、あとで相続人どうしで調整するので、記録を残します。

残高証明の取り方

相続人が預貯金の残高を確かめるには、預けていた金融機関の窓口で、相続人として残高証明書を請求します。書類や手数料は金融機関ごとに違うので、ゆうちょ銀行の案内を例にします。持っていく物は次のとおりです。

被相続人の死亡の事実が分かる戸籍謄本等
相続人であることが確認できる戸籍謄本等
相続人の本人確認書類
相続人の印章

相続人どうしで遺産分割の話し合いがまとまらず、家庭裁判所に調停を申し立てるときは、遺産に関する証明書として「預貯金通帳の写し又は残高証明書」が求められます(裁判所)。通帳は、捨てる前に写しを取っておきます。

口座が分からないとき

通帳やカードが見つからず、どこの金融機関に口座があるか分からないときの調べ方は、2つあります。

調べ方調べられる口座費用かかる日数
取引がありそうな金融機関の窓口で、相続人として調べてもらうその金融機関にある口座ゆうちょ銀行の貯金の調査は無料。分かった口座の残高証明書は所定の手数料金融機関に確かめる
預金保険機構の「相続時預貯金口座照会」被相続人が生前にマイナンバーを紐づけた預貯金口座だけ。被相続人の死後10年までの照会が対象1件につき5,060円(消費税込)申込みから結果の通知まで1か月程度

相続時預貯金口座照会は、口座管理法第8条に基づく仕組みです。相続人(包括受遺者を含む)は、預金保険機構を通じて、全部の金融機関が管理する被相続人名義の預貯金口座について、金融機関と店舗の名前、預貯金の種別と口座番号の通知を求められます。申込みは金融機関の窓口(預金保険機構が受付を委託した金融機関。取引のない金融機関でも申し込める)で受け付けます。結果は、申込書に書いた日本国内の通知先へ、転送不要の簡易書留で届きます。

通知される内容金融機関名・支店名・預貯金の種類・口座番号など。残高や被相続人のマイナンバーは含まれない
この照会で分からないこと照会の結果は、口座の存在や、相続する口座を証明するものではない。生前にマイナンバーを紐づけていない口座は、この照会では出てこない
手数料申込みの受付後は、該当の口座がないという結果でも、原則として手数料は返らない

申込みには、次の3種類の書類を用意します。

相続人ひとりで申し込めます。照会の問い合わせは、マイナンバー総合フリーダイヤル 0120-95-0178(平日9時30分〜20時、土日祝9時30分〜17時30分)です。

古い通帳と休眠預金

10年以上、入出金などの取引がない預金等は、休眠預金等と呼ばれます。2009年1月以降に最後の取引があったものが、原則の対象です。休眠預金等になっても、取引のあった金融機関で引き出せます。金融庁は、期限はないと案内しています。

持っていく物通帳やキャッシュカード、本人確認書類など(通帳をなくしていても、本人確認書類などで引き出せる)
亡くなった人の預金のとき預金者が亡くなったときは、金融機関所定の手続きを経て、相続人が引き出せる
かかる時間長い間取引がない預金等の引き出しは、金融機関の窓口での手続きが要り、時間がかかるのが一般的

2007年10月1日より前に郵便局に預けた定額郵便貯金などは、休眠預金等の対象にならない(郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構のサイトで確かめる)。

遺品整理の費用との関係

片付けや業者への支払いを、亡くなった人の預金から出してよいかは、通帳が出てきたときに最初に出る疑問です。仮払いで受け取ったお金や、見つけた現金を費用に回すときは、先に相続人で合意して、領収書と一緒に記録を残します。

相談する先

相続放棄を考えているとき処分の前に確かめること・期限・申し出の方法
家庭裁判所遺産分割の調停・審判と、仮払いの保全処分。申立先は、相手方の1人の住所地か、合意で決めた家庭裁判所
法テラス(法テラス・サポートダイヤル)電話 0570-078374 / 平日9時から21時・土曜9時から17時

よくある質問

見つけた現金を、葬儀の費用にすぐ使ってもいいですか?

現金も相続財産なので、使う前に相続人で話し合い、額と使い道を記録してください。相続放棄を考えている人は、使う前に家庭裁判所や専門家に確かめてください。

預貯金の仮払いは、いくらまで受け取れますか?

口座ごとに「相続開始の時の預貯金債権の額×3分の1×その相続人の法定相続分」で計算し、預貯金を預けている金融機関ごとに150万円が上限です(民法第909条の2と法務省令)。家庭裁判所の保全処分は、家庭裁判所が認めた額になります。

通帳が見つからないのですが、口座があるはずです。どう調べますか?

取引がありそうな金融機関の窓口で、相続人として調べてもらうか、預金保険機構の相続時預貯金口座照会(5,060円)を使います。照会で分かるのは、亡くなった人が生前にマイナンバーを紐づけた口座に限られます。

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出典

確認日: 2026年10月31日

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