固定資産税と空き家
東京都主税局の案内です。賦課期日(1月1日)現在、住宅の敷地となっている土地(住宅用地)は、特例措置により固定資産税・都市計画税が軽減されています。
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分) | 価格×1/6 | 価格×1/3 |
| 一般住宅用地(小規模住宅用地以外の住宅用地) | 価格×1/3 | 価格×2/3 |
住宅用地の範囲(地積)は、住宅用家屋の床面積の10倍までです。表の「価格」に掛けた額が、税を計算するもとの額になります。
川崎市は市税です。市の案内では、住宅用地(人の居住の用に供する家屋の敷地)には、課税標準の特例があります。小規模住宅用地(住宅用地のうち住宅1戸当たり200m2以下の部分)は価格の6分の1、一般住宅用地(それ以外)は価格の3分の1です。
特例が外れる場合について、都は次のように案内しています。「特定空家等」または「管理不全空家等」に当たり、賦課期日までに区からの勧告に対する必要な措置が講じられない家屋の敷地は、住宅用地の特例措置の対象から除外されます。
管理不全空家と勧告
令和5年12月13日(2023年12月13日)に、改正空家法(令和5年法律第50号)が施行されました。国土交通省の概要は、次のように説明しています。
- 放置すれば特定空家になるおそれのある空家(管理不全空家)に対し、市区町村長が、管理指針に即した措置を指導・勧告できるようになりました。
- 勧告を受けた管理不全空家は、固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)が解除されます。
- 所有者の責務として、これまでの「適切な管理の努力義務」に加え、国や自治体の施策に協力する努力義務が加わりました。
- 調査と通知区が空き家を調べ、区から通知が届きます。
- 管理不全空家等の判断区が、放置すると特定空家等(周囲に著しい悪影響を及ぼす空家)になるおそれがあるかを判断します。
- 指導管理指針に沿った措置をするよう、区が指導します。
- 勧告世田谷区の案内では、勧告を受けると、土地の固定資産税等が翌年から増額になります。
勧告を受けたあとで必要な措置を講じたときの流れは、東京都主税局が次のように案内しています。勧告の撤回などは、都税事務所ではできません。勧告を行った区に、必要な措置を講じたことを連絡します。区が措置を確認して勧告を撤回すると、都税事務所が、撤回の日以降の賦課期日の状況で、改めて特例の適用の可否を判断します。
区からの通知や固定資産税の通知書は、片付けの途中で出てくることがあります。捨てずに残して、区の担当課に連絡してください(遺品整理で捨ててはいけない物)。
売る・貸す・解体するの分かれ道
| 道 | 3,000万円の特別控除 | 固定資産税と先に確かめること |
|---|---|---|
| 家を残して売る | 使える場合がある。家屋は昭和56年5月31日以前の建築で、区分所有建物でなく、売る時に耐震基準を満たすことなどが要件 | 売るまでは、住宅が建つ土地として扱われる(勧告を受けた場合を除く)。売る人が相続で取得したことを、登記事項証明書などで示す書類が要るので、相続登記が済んでいるかを先に確かめる |
| 取り壊して土地を売る | 家屋の全部を取り壊したあとに、敷地等を売る場合も対象。取り壊しの時から売る時まで、建物などの敷地に使わないことが要件 | 川崎市の案内: 特例の対象は、1月1日現在、住宅の敷地として使われている土地に限られるため、住宅を取り壊すと税額が高くなります。東京都主税局も、取り壊した土地は住宅の敷地といえず、税額が上がると案内しています |
| 貸す | 相続の時から売る時まで、貸付けに使われたことがないことが要件。貸してから売ると、対象外になるおそれがある | 貸す場合の固定資産税と火災保険の扱いは、都税事務所・市税事務所と保険会社に確かめる |
| 空き家のまま持つ | 売るなら、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、特例の期間内に | 住宅が建っていれば特例がある。管理不全空家等で勧告を受け、措置が取られないと外れる。火災保険と管理は続く |
遺品整理の途中で、家族が住み始めたり、人に貸したり、事業に使ったりすると、売るときの特別控除の要件(相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使われたことがない)から外れるおそれがあります。売るかもしれないうちは、家を人に使わせずに片付けます。
取り壊したあとに建て替えるときは、特例を続けられる場合があります。東京都主税局の案内では、前年度の賦課期日の時点で住宅だった土地に住宅を建て替えるときは、「住宅を建て替える土地の特例措置」の要件をすべて満たせば、住宅用地の特例措置を続けられる場合があります。川崎市の案内では、既存の住宅に代えて新しく住宅を建てている最中で、一定の要件を満たす土地は、所有者の申請で住宅用地として扱われます。
貸す・取り壊すを選ぶときも、売る可能性が少しでも残るなら、先に税務署か窓口で確かめます。
3,000万円の特別控除
国税庁(令和8年4月1日現在法令等)は、次のように説明しています。
- 相続または遺贈で取得した被相続人居住用家屋か、その敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。
- 令和6年1月1日以後の譲渡で、被相続人居住用家屋と敷地等を相続または遺贈で取得した相続人の数が3人以上のときは、控除は2,000万円までです。
家屋の要件(被相続人居住用家屋)
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前に、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
売り方の要件(次のどれか)
- 家屋を売るか、家屋とともに敷地等を売る(相続の時から譲渡の時まで、事業の用・貸付けの用・居住の用に使われたことがなく、譲渡の時に一定の耐震基準を満たしている)
- 家屋の全部を取り壊すなどしたあとに、敷地等を売る(相続の時から譲渡の時まで、敷地等が事業の用・貸付けの用・居住の用に使われたことがなく、取り壊しの時から譲渡の時まで、建物や構築物の敷地に使われたことがない)
- 令和6年1月1日以後の譲渡に限り、家屋を売ったあと、譲渡の年の翌年2月15日までに、家屋が耐震基準を満たすこととなったか、家屋の全部が取り壊された
そのほかの要件
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売ったものでないこと
期限の並び
- 亡くなった日(相続の開始)ここから3年を数えます。
- 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ります。
- 2027年12月31日(令和9年12月31日)までが、この特例の対象になる譲渡の期間です。
- 譲渡の年の翌年2月15日まで(令和6年1月1日以後の譲渡)売ったあとに、家屋が耐震基準を満たすか、全部取り壊されたときも対象になります。
令和8年4月1日現在の法令等では、例えば2026年11月に亡くなったとき、3年を経過する日の属する年の12月31日は2029年12月31日ですが、特例の期間が2027年12月31日までなので、売るのは2027年12月31日までです。期間の延長や改正は、国税庁のページで最新を確かめてください。
手続き
- この特例を受けるには、一定の書類を添えて確定申告をします。申告先は所轄の税務署です。
- 添える書類の一つが、売った資産の所在地の市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」です。
- もう一つの書類が、売った資産の登記事項証明書などで、売った人が被相続人居住用家屋と敷地等を相続または遺贈で取得したこと(昭和56年5月31日以前の建築であること、区分所有建物でないことも)を明らかにするものです。
確認書の交付は、特例の適用を確約するものではありません。適用要件を満たしているかは、事前に管轄の税務署に聞くよう、大田区のページが案内しています。区・市が確認書を出せるのは、それぞれの区・市内にある家屋だけです。
火災保険
日本損害保険協会の損害保険Q&A(問59・問60)には、火災保険の通知・失効・解約の決まりが載っています。家が空き家になったときに確かめる点として、次の3つを挙げます。
- 通知: 保険会社が通知を求めた事項が契約のあとで変わったときは、遅れずに通知しなければなりません。日本損害保険協会は、通知事項の例として、「建物の構造・用法の変更」(例: 住宅専用の建物を店舗併用に変える)と「家財の他の場所への移転」を挙げています。故意または重大な過失で遅れずに通知しなかったときは、契約が解除され、保険金が支払われないことがあります。
- 売ったとき: 建物を譲渡すると、所有する利益を持つ被保険者が変わるため、契約は失効します。契約者が譲渡の前に書面で保険会社に申し出て承認を得れば、権利・義務を建物を譲り受ける人に移せます。失効の日までは補償があるので、未経過の期間の保険料は、保険会社が定める計算方法で返されます。
- 解約: 契約者は、保険会社に書面で通知して、契約を解除(解約)できます。解除すると、未経過の期間の保険料が、保険会社が定める計算方法で返されます。
住んでいない状態になることが通知の対象になるかや、契約者が亡くなったあとの手続きは、契約している保険会社の約款で決まります。保険会社か代理店に聞いてください。
- 保険証券を探す片付けの前半に、保険証券や保険会社からの通知を探します(遺品整理で捨ててはいけない物)。
- 保険会社に連絡する契約者が亡くなったこと、家が空き家になることを伝え、必要な手続きと、補償が続くかを聞きます。
- 売る・解体する日に合わせる売る日や取り壊す日が決まったら、解約や失効の日を保険会社と決めます。
相談窓口
空き家の相談は、売る・貸す・解体する・相続登記・管理の全部をまとめて聞ける窓口があります。電話の前に、保険証券・固定資産税の通知書・権利証(登記済証)を手元に置いておくと話が早く進みます。
固定資産税や住宅用地の特例は、税の窓口に聞きます。
川崎市のすまいの相談窓口は、市内に空家となっている住宅を持つ本人や家族からの相談に、利活用・管理・売却などの情報提供で応じています。まず電話します。連携する専門家団体によって無料の範囲が限られるので、相談の始めに料金を確かめます。
よくある質問
空き家のままにすると、固定資産税はすぐ上がりますか?
都の案内では、住宅用地の特例が外れるのは、「特定空家等」または「管理不全空家等」に当たり、賦課期日(1月1日)までに区の勧告に対する必要な措置が講じられない家屋の敷地です。区の通知と指導のあとに勧告があり、世田谷区の案内では勧告を受けると土地の税が翌年から増えます。
相続した空き家を売ると、いくら控除されますか?
一定の要件に当てはまると、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。相続した相続人の数が3人以上のときは、令和6年1月1日以後の譲渡で2,000万円までです。売るのは、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までです(令和8年4月1日現在の法令等)。
家を貸してから売っても、特別控除は使えますか?
国税庁の要件に、相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使われたことがないこと、があります。貸してから売ると、要件に当たらないおそれがあるので、貸す前に税務署に確かめてください。
家を取り壊すと、固定資産税はどうなりますか?
東京都主税局は、賦課期日に住宅の敷地といえない土地は住宅用地の特例に当たらず、税額が上がると案内しています。川崎市も、1月1日現在に住宅の敷地として使われている土地だけが対象なので、取り壊すと税額が高くなると案内しています。建て替える場合の特例の要件は、都税事務所・市税事務所に聞いてください。
あわせて読む
出典
- 「特定空家等」または「管理不全空家等」に該当する場合、土地の税額が高くなることがあります(23区内に土地・家屋をお持ちの方へ)(東京都主税局)
- 適切な管理がされていない空き家は土地の「固定資産税・都市計画税」が大きく「増額」になる可能性があります(世田谷区)
- 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について(国土交通省)
- 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(概要)(国土交通省)
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
- 損害保険Q&A 問59 火災保険における告知事項や通知事項は、どのようなものがありますか。(日本損害保険協会)
- 損害保険Q&A 問60 火災保険契約が無効や失効となるのは、どのような場合ですか。(日本損害保険協会)
- 相談対応、苦情・紛争の解決(そんぽADRセンター)(日本損害保険協会)
- 空家に関するご相談(大田区)
- 被相続人居住用家屋等確認書の交付について(大田区)
- 空き家の相談窓口(世田谷区)
- 被相続人居住用家屋等確認書等の交付手続について(世田谷区)
- 空家相談について(川崎市)
- 被相続人居住用家屋等確認書について(空き家の譲渡所得3,000万円特別控除)(川崎市)
- 土地に対する課税 - 2(川崎市)
- 住宅を取り壊したら、固定資産税が高くなったのはなぜですか。(川崎市)
確認日: 2026年10月31日